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尿が泡立つ

「尿が泡立つ」と心配されて泌尿器科を受診される患者さまが多くいます。
また、尿が泡立っていても、一時的なことなのか病気なのか分からず、またどこに相談したらいいのか悩んでしまう方も多いと思います。
尿が泡立つ原因はさまざまありますので、ぜひ泌尿器科の受診をおすすめします。

泡立つしくみ

なぜ泡立つのでしょうか?シャボン玉で説明してみます。

シャボン玉が丸くなるのは、表面張力のせいです。
表面張力は水分子同士が引きつけ合う自然の力で、表面積を小さくする働きがあります。
表面積が一番小さい形が球形なので、表面張力は丸まろうとする力ともいえます。
コップにいっぱいの水が盛り上がって見えるのがいい例です。
水の表面(水と空気が接する面)には表面張力が働いていて、水は空気と混ざり合うことはありません。
しかし、水に石けんを溶かすことで、水の表面張力は弱くなります。
水は球形を保てず表面積は大きくなり、薄い膜(泡の膜)になって広がっていき、空気を大きく包み込みます。
そして、気泡として空中を浮くことができます。
これがシャボン玉の原理であり、石けんの作用を界面活性作用とよびます。

尿が泡立つというのは、尿の中に石けんと同じような界面活性作用をもつ物質(ウロビリノーゲンや蛋白など)が多くなっているということになります。

尿が泡立つ原因

尿が泡立つ原因は、それほど心配しなくてもいい脱水で尿が濃くなる場合が多いですが、重篤な病気が隠れているケースもあります。
尿の泡立ちがとても気になる、もしくは尿の泡立つ期間が長い人には、ぜひ泌尿器科の受診をおすすめします。

健康的な泡立ち(尿が濃い)

尿が泡立つ原因として、一番多いものは脱水で尿が濃くなっていることです。
これは病気ではなく、ほぼ正常な状態です。
脱水になると、尿に排出される物質の濃度が濃くなります。
その物質の1つにウロビリノーゲンがあり、肝臓で作られた胆汁(ビリルビン)が代謝されてできます。
ウロビリノーゲンは尿中に必ず入っており、尿検査ですぐ測定できて、正常値は(±)です。
ウロビリノーゲンは界面活性作用があるので、脱水状態では尿が泡立ちます。朝イチの尿や、運動で汗をかいた後の尿では泡立つことが多いです。
また尿の濃度が濃いときには、アンモニア臭を訴えられることも多いです。

病的な尿の泡立ち

尿路感染症

尿の通り道である腎盂や膀胱、前立腺の粘膜に細菌が感染することで起こります。
男性の場合は尿道炎、急性細菌性前立腺炎などで、女性の場合は膀胱炎が多いです。
細菌が入ることで尿中の尿素窒素がアンモニアに分解されるため、尿臭が強くなったり、尿がアルカリ性になったりします。
また、細菌に感染した粘膜細胞内から蛋白が流出するので、尿が泡立つことがあります。

糖尿病

尿糖が陽性というのは尿中にブドウ糖が含まれるという意味です。
糖はもともと腎臓で再吸収され尿中に出てくることはありませんが、血液中の糖の濃度が高くなると再吸収しきれず尿中に糖が検出されるようになり、また粘稠度が高くなることで泡立ちやすくなります。
尿糖陽性だけでなく、糖尿病性腎症を発症すると、蛋白尿も生じるので尿が泡立ちやすくなります。

蛋白尿(腎炎・ネフローゼなど)

腎臓には糸球体という小さいフィルターが無数にあり、糸球体は血液をそのフィルターに通して尿を作り、老廃物や余分な水分を含んだ尿を体外へ排出する働きがあります。
血液中の蛋白は分子量が大きいので、ふつうは糸球体のフィルターを通過しませんが、腎炎、ネフローゼ症候群、糖尿病性腎症、高血圧性腎症(腎硬化症)などの病気があると、フィルターの網目が壊れて、尿の中に蛋白が漏れて出てきます。
これが蛋白尿(尿蛋白陽性)です。蛋白は界面活性作用があるので、尿中の濃度が高くなると尿が泡立ちやすくなります。
ただ、正常な方でも尿蛋白が出る場合があります。

黄疸

黄疸とは、血液中のビリルビンが増えて、目や皮膚など身体中が黄色くなる状態のことです。
黄疸は、主に肝臓の病気や溶血性貧血などによって起こりますが、これは肝臓が作る胆汁の中にあるビリルビンの色です。

赤血球は古くなると脾臓で分解されて、水に溶けにくいビリルビン(非抱合型)になります。
溶血は脾臓以外で赤血球がすでに壊れている状態です。
この水に溶けにくい非抱合型ビリルビン(間接ビリルビン)は、肝臓で水に溶けやすい抱合型ビリルビン(直接ビリルビン)となって、胆汁に放出されます。
腸内細菌によって胆汁中のビリルビンはウロビリノーゲンへ分解され、ウロビリノーゲンの80%は便とともに排出されます。
残り20%は腸から吸収され、肝臓に戻ります。
そして肝臓でウロビリノーゲンはビリルビンに再合成されます。
これを腸肝循環といいます。

肝臓の機能が落ちると腸から吸収されたウロビリノーゲンはビリルビンに変換されないまま尿中に流れ、尿ウロビリノーゲンは増えます。
ウロビリノーゲンは界面活性剤なので、尿が泡立ちやすくなります。

腸閉塞、便秘

腸の蠕動が止まると、腸内細菌によってビリルビンから分解されたウロビリノーゲンが便として体外に出ないので、腸からたくさん吸収され、尿中ウロビリノーゲンが増えます。
そのため、尿が泡立ちやすくなります。

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