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前立腺肥大症

主な症状

  • 尿が出にくい
  • 1日に何回も尿にいく(1日8回以上)
  • 急に尿がしたくなって、我慢できない
  • トイレまで我慢できずに尿が漏れる
  • 夜、何度もトイレに行く

この症状がある男性は、前立腺肥大症かもしれません。
こういった症状をそのままにしておくと、尿が全く出なくなったり(尿閉)、血尿が出たりと排尿症状が悪くなり、日常生活に大きな支障をきたしますので、早めに泌尿器科を受診してください。

前立腺とは何か

前立腺は男性にしかない臓器で、膀胱の下の尿道を取り囲んでいます。
ドーナツの形をしていて、その真ん中の穴に尿道が通っているイメージです。通常の大きさはクルミ大程度です。
生殖機能(受精や射精)に関わっていますが、年齢とともにその機能は低下していきます。
また、前立腺が肥大すると、尿道を圧迫し排尿障害を生じたり、前立腺がんを合併する場合もあります。

前立腺肥大症とは

前立腺肥大症は、前立腺が肥大して尿道を圧迫し、排尿障害をおこす病気です。
年齢とともに大きくなって、本邦では、60歳で6割、80歳以上の9割の男性に前立腺肥大症が見られます。
原因ははっきり分かりませんが、性ホルモンが関係していると考えられています。

前立腺が年齢とともに大きくなると、尿道を圧迫します。
ドーナツが大きく膨らんで、ドーナツの真ん中の穴が狭まるイメージです。
尿道が圧迫されて狭くなると、尿がでにくくなります(排尿困難)。

一方、膀胱は尿を押し出そうと頑張るので、膀胱を収縮する筋肉が発達して大きくなり、膀胱の壁が分厚くなります。
すると、膀胱が本来もっている伸びて縮む力(柔軟性)が失われ、膀胱がカチコチに硬くなります。
尿が少したまっても、膀胱がそれ以上膨らまないので、勝手に尿を押し出そうとします。
これが頻尿や尿意切迫を招く原因です。

前立腺肥大症の症状は、①排尿困難などの排尿症状、②頻尿・尿意切迫などの畜尿症状が2大症状であり、男性の過活動膀胱の原因となります。
他には、排尿後症状(残尿感、排尿後に少し漏れる)もあります。

検査

  • 問診・直腸診
  • 尿検査
  • 腹部超音波検査(エコー)、残尿測定
  • 尿流量検査

※いずれの検査も大きな痛みは伴いません

治療

前立腺肥大症の治療は病気の重症度によって変わってきます。
例えば、自覚症状がなく経過観察で様子を見ている時期もあれば、排尿困難や頻尿、尿意切迫などの症状により日常生活に支障をきたし内服治療開始する場合や、手術や根治的な治療を行う場合があります。

行動療法、薬物療法、手術療法があります。

1 行動療法

ご自身に行ってもらうことがメインですが、泌尿器科でフォローします。

  • 症状が軽度で合併症のない患者さまに対する経過観察
  • 肥満に対する食事制限
  • 膀胱訓練
  • 骨盤底筋体操

2 薬物療法

薬物療法のポイントは、①前立腺による尿道の圧迫を取り除く(尿道抵抗の改善)②膀胱の柔軟性を取り戻す(過活動膀胱を改善)、この2点です。

① 前立腺による尿道の圧迫を取り除く(尿道抵抗の改善)
1.α1受容体遮断薬 ~尿道をひろげる~

前立腺肥大症を治す薬ではなく尿の勢いをよくする薬です。
飲んでみて尿が出やすくなるなど効果があれば、しばらく飲み続けたほうがいいです。
ハルナール®(タムスロシン)、フリバス®(ナフトピジル)、ユリーフ®(シロドシン)の3種類の薬剤が現在処方できます。

2.5α還元酵素阻害薬 ~前立腺を小さくする~

前立腺の容量を小さくできる唯一の薬です。アボルブ®(デュタステリド)が処方できます(AGA治療薬のザガーロ®と同一成分です)。

3.PDE5阻害薬 前立腺の血流をよくする

前立腺・膀胱・尿道の血管拡張作用によって血流が改善し、尿道が緩まり尿がでやすくなります。
また膀胱の血流改善効果があり、過活動膀胱にも効きます。
ザルティア®(タダラフィル)の1剤が処方できます(勃起不全薬シアリス®と同一成分ですが容量が違います)。

個々の患者さまの前立腺の状態や、さまざまな背景を踏まえたうえで、処方薬剤を決定します。
単剤で効果が乏しい場合は2剤併用も行います。

② 膀胱の柔軟性を取り戻す(過活動膀胱を改善)
1.β3受容体作動薬 膀胱を緩める

膀胱の筋肉を緩めて膀胱を広げます。それにより、尿がたまるようになり、頻尿や尿意切迫などの症状がよくなります。
ただ膀胱収縮力が弱まるので、排尿困難が悪化したり尿閉になったりすることがあります。
前立腺肥大症の患者さまに処方する場合は、1-3の薬剤と併用することが重要です。
下記の抗コリン薬と比べて副作用が少ないです。

ベタニス®(ミラベグロン)、ベオーバ®(ビベグロン)

2.抗コリン薬 膀胱を緩める

過活動膀胱による頻尿・尿意切迫を改善します。
上記のβ3受容体作動薬より、膀胱収縮の抑制効果が強いので、排尿困難の増悪や尿閉が起こりやすいです。

ベシケア®(ソリフェナジン)、トビエース®(フェソテロジン)

3 手術療法

内服治療で症状が改善しない場合や前立腺肥大症に関連する合併症(尿閉、血尿、膀胱結石など)を認めた場合に手術が必要になります。
現在は内視鏡手術が主流ですが、その方法は、HoLEP(みかんの皮から身を取るように前立腺をくり抜く)、TUEB(尿道からけずる)、PVP(前立腺を蒸散させて薄くする)など色々あります。
いずれも、数日の入院で、高齢の方でも比較的安全に行える治療です。

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