性器ヘルペス
単純ヘルペスウイルスによる性感染症です。
日本での患者数がは年間約9万人で、女性では20代後半、男性では30代が最も多いです。
単純ヘルペスウイルスにはヒトヘルペスウイルス1型(HSV-1)とヒトヘルペスウイルス2型(HSV-2)があります。
HSV-1は顔面の三叉神経節の潜伏感染し、口唇ヘルペスとして再発をくり返します。
また、口唇ヘルペスの症状があるときにオーラルセックスをすると相手の性器にも感染します。
HSV-2は腰仙髄神経節に潜伏感染し、性器にのみ感染して、外陰部の水泡や潰瘍の症状をくり返します。
非常に多くの人が単純ヘルペスウイルスに感染しています。
すべての人の何割かが一生のうちには感染すると言われています。
一度感染するとウイルスは身体に一生住み着いて、いなくなることはありません。
そして、体調や免疫の低下した時に、症状となって現れてくるようになります。
感染しても、症状(口唇や性器の病変)が出ることもありますが,症状が出ないこともあります。
感染はパートナーの病変と接触して起こることもありますが、症状が出ていなくても、性器の皮膚や粘膜にウイルスが出てきてパートナーに感染する場合のほうが多いです。
これが、性器ヘルペスのまん延につながっています。
症状
感染してから症状が出るまでの期間 : 2日~10日
①初感染で症状が出た場合と②初感染では無症状でその後に症状が出た場合の2つのケースがあります。
①のほうが、症状が重く、治るまで時間がかかることが多いです。
男性
- 外陰部に水ぶくれが多数でき、かゆくなる
- 外陰部に潰瘍ができ、痛みがある
- 排尿時に強い痛みがある
- 足の付け根(鼠径部)のリンパ節の腫れる
- 高熱がでる
女性
男性より症状が強いことが多く、子宮や膀胱まで感染が広がり、強い痛みで排尿や歩行が困難になることがあります。
- 外陰部に水疱が多数でき、かゆい
- 外陰部に潰瘍ができ、痛みがある
- 排尿時に強い痛みがある
- 高熱がでる
- 足の付け根(鼠径部)のリンパ節が腫れる
以上の症状は、治療を行わなくても2~3週でおさまりますが、1度感染するとウィルスを完全に排除できないため、免疫力が低下した時などに再発を繰り返すことがあります。
再発した場合
性的接触・疲労・ストレスなどの刺激で再発することが多く、小さな水ぶくれや潰瘍が外陰部にできますが、初感染の場合よりも軽い症状で済むことが多いです。
症状が消えるまでの期間も1週間以内と短いことが多いです。
しかし、再発率が高く、再発を予防する治療を行うことがあります。
検査と診断
特徴的な皮膚の症状(水ぶくれや潰瘍)、痛みから診断します。
また、血液や、病変の分泌物を用いてウイルスを調べる検査もあります。
治療
抗ウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル)が有効です。
初感染
初感染は症状が強く、症状が出ている期間が長いので、薬を内服すると症状が軽くなります。
しかし,初感染を早期に治療しても,再発を予防することはできません。
再発
早いうちに(発症後1日以内)内服すると効果的です。
ただし、症状が軽く1週間以内に自然軽快することが多いので、自然に治るのを待ったほうが良いこともあります。
再発抑制
再発を繰り返す場合(年6回以上)は、抗ウィルス薬を予防的に内服する治療があります。
毎日内服して、1ヶ月ごとに再発していないか確認し、治療継続するかを患者さまと相談して決めていきます。