男性更年期障害
- 疲れやすい
- やる気がでない
- 集中力が続かない
- 眠れない
- 性欲が落ちた
- ED勃起不全になった
男性の方でこのような症状があれば、男性更年期障害かもしれません。
男性更年期障害とは
女性の更年期障害はよく知られていますが、男性でも中高年期を迎えると男性ホルモン(テストステロン)が低下し、女性の更年期障害と同じような症状を引き起こすことが明らかになりました。
近年、男性ホルモンの不足に関連して、男性更年期障害をより正確に「LOH症候群」として定義されました。
LOH症候群は加齢男性性腺機能低下症候群の略称で、LOHとはlate-onset hypogonadismの略、遅れてやってきた性腺機能低下症という意味です。
男性更年期障害の症状は様々で、その1つである「うつ症状」と「うつ病」を区別することが困難とされていたので、加齢と男性ホルモンの分泌低下に伴う症状として正確にLOH症候群が定義されました。
男性ホルモンは活動的で意欲的な男らしさをもたらしますが、男性ホルモンの分泌は20代がピークで、加齢とともに衰えます。
男性更年期障害は加齢による男性ホルモンの低下により様々な症状を引き起こしますが、自然に回復することはなく、男性ホルモンを補充するなどの治療が必要です。
閉経前後の女性の更年期障害は、閉経後にホルモンバランスが安定すれば自然軽快することが多く、その点で男性の場合とは違います。
30代を乗り越え、さらなる責任やストレスを背負う40~60代のある日、男性ホルモンの急激な分泌不足が引き起こす自律神経の失調症状による不定愁訴。
これが「男性更年期障害」です。
様々な不定愁訴のセルフチェックは、国際的に認められたAMSスコアによる問診票をご参照下さい。
から精巣に男性ホルモンを出す指令が出なくなり、男性ホルモンが減るのです。
ストレス社会となっている現代では珍しい病気ではありません。
症状
LOH症候群は更年期症状以外に様々な症状がおこります。
これはテストステロンが全身の多くの臓器で多様な作用を発揮しているためです。
自律神経失調症状
- のぼせ
- 多汗
- 寒気
- 動悸
- 息切れ
- めまい
- 息苦しさ
- 疲れやすい
- 頭痛
- 肩こり
精神症状
- 眠れない
- 神経質
- 不安感
- イライラする
- 怒りっぽい
- 憂うつ
その他の症状
- 性欲減退
- ED勃起不全
- 腰痛や関節痛
- 吐き気や食欲不振
- 皮膚の乾燥感やかゆみ
- 尿がでにくい
- 外陰部の不快感
診断
主に、「AMSスコア」(Aging Male symptom score)という専用の問診票と、男性ホルモン(遊離テストステロン)を含む血液検査で診断します。
上で述べた症状が改善しないような方は、一度男性ホルモン(遊離テストステロン)を測定することをお勧めします。
問診
「AMS質問表」(Aging Male symptom score)
「身体症状」、「精神・心理症状」、「性機能関連症状」のそれぞれについて、合計17個の質問からなる。
検査
血液検査 | 遊離テストステロン、ヘモグロビン、ヘマトクリット(血液中に占める血球の体積の割合)、赤血球数 、血液生化学 (特にコレステロールや肝機能) |
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尿検査 | |
耐糖能検査 | 空腹時血糖、HbA1c |
腫瘍マーカー | PSA |
骨塩定量 |
治療
治療の重要性
LOH症候群は、加齢とストレスにともなう男性ホルモンの急激な分泌低下が原因と考えられますから、まず「ストレスの原因を突き止めて、ストレスを健康的に発散すること」が解決の基本です。
また、「食生活や運動など日常の生活習慣を改善する」ことも大切です。
ところが、分かっていても、気分が落ち込んでいる時には「最初の一歩」が踏み出せないものです。
それならば、不足している男性ホルモンを補充してみるのがよいです。
男性更年期障害の治療の流れ
- LOH関連の症状の質問票「AMSスコア」を記入していただき、重症度の判定を行います。
- 男性ホルモン(遊離テストステロン)の採血、および採血(耐糖能、脂質、赤血球、肝機能、腎臓機能)を測定し、男性ホルモン補充療法を行えるかどうか判定します。
また、男性ホルモンを補充すると前立腺がんを悪化させる恐れがありますので、前立腺腫瘍マーカー(PSA)の測定も行います。 - 超音波検査;男性ホルモンを補充すると前立腺肥大が悪化することがあるため、定期的に前立腺の体積を測定します。
- 採血の結果がでましたら、男性ホルモン(遊離型テストステロン)の測定値を確認し、男性ホルモンの補充を行います。
男性ホルモンの測定値が正常であれば、男性更年期障害ではないと診断し、心療内科などの受診をお勧めします。 - 男性ホルモン(テストステロン)補充療法
注射剤であるエナント酸テストステロン125㎎~250㎎を2~4週毎に筋肉注射します。(投与間隔は症状により変わります) - その他の薬物治療
患者さんの症状にあわせて最適な漢方治療を行います。 - 性機能障害(ED)がある場合は、ED治療薬を併用します。
ED治療はこちら
男性ホルモン治療ができない患者さま
以下のご病気がある患者さまには男性ホルモン補充を行えません。
- 前立腺がん 乳がん
- 重症の前立腺肥大症
- 多血症
- 重度の腎機能不全や重度の肝機能障害
- うっ血性心不全
- 重度の高血圧症
- 夜間睡眠時無呼吸症候群
- 抗凝固剤内服中
LOHの治療に関しては、基本的に保険診療で行います。
保険審査がおりない患者さまもおられ、その場合は自費診療になることがありますのでご了承ください。