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尿が臭う

泌尿器科を受診される患者さんの中で「尿の臭いが気になる」という患者さまが多くおられます。
この尿の臭いとはなんでしょうか?

臭いの原因は、尿中の尿素を細菌が分解してできたアンモニアです。
健康な人の尿では軽いアンモニア臭がする程度です。
コーヒーやビタミン剤、ニンニクなど、尿に臭いを出す飲食物を口にしたのであれば、それほど心配いりません。
しかし、尿の臭いがきつい、もしくは甘酸っぱい臭いがする場合は、尿路感染症や糖尿病など、大きな病気を知らせてくれていることもあるので、心当たりのある方はぜひ泌尿器科を受診してください。

尿が臭う原因

脱水(それほど心配いりません)

夜間トイレに行かないで眠れるのは、排尿をおさえる抗利尿ホルモンが分泌されるからです。
抗利尿ホルモンによって、腎臓は作った尿の大半を再吸収します。
眠っている間や運動して汗をかいた後、水分摂取が極端に少なかったりすると、抗利尿ホルモンが分泌されて、腎臓は尿から再吸収する水分を増やして、尿の量を減らします。
排出される老廃物の量は変わらないので、尿の匂いが強くなります。
朝イチの尿が臭うのもそのためです。

尿路感染症

健康な人の場合、尿は腎臓から体外に排出されるまで、全くの無菌状態でほぼ無臭です。
尿が流れ出る途中で、尿の成分である尿素が体外から侵入した細菌が反応してアンモニアが発生します。
膀胱炎など尿の通り道で感染がおこると、細菌がどんどん繁殖し、アンモニア臭は強くなります。
尿の臭いがきついという症状だけで膀胱炎が判明したケースもあります。
通常、抗生剤で治療します。

膀胱炎がしっかり治療されないままになる(慢性化)と、膀胱に結石ができる場合があります。
寝たきりの方でよく見られます。
膀胱結石ができると、結石の中で細菌が増えて、尿の濁りや臭いが強くなります。
結石の中には抗生剤は届きにくいので、石を取り除く手術が必要です。

尿道カテーテル(おしっこの管)を長期にわたって留置されている方で、尿路感染が慢性化する場合があります。
カテーテルは体外から挿入するため、管をつたって細菌が侵入しやすいためです。
また、カテーテルは膀胱結石と同じく異物なので、細菌はその表面に自分たちのすみか(バイオフィルム)を作り、その中で細菌は増えていきます。
バイオフィルムの中に抗生剤は届きにくいので、カテーテル内の尿の濁りや臭いが強くなったら、早めにカテーテルの交換を行うこともあります。

膀胱がん

がん細胞は正常な組織とちがってもろくて壊れやすく(壊死)、壊れたがんの組織から腐敗臭が発生します。
膀胱内にがんがあると、壊死したがん組織が尿に流れて出て、尿の臭いがきつくなる場合があります。
がんの検査および治療が早急に必要です。

膀胱がんはこちら

糖尿病

糖尿病は、インスリンが足らなくなったり、働きが弱くなってしまう病気です。
インスリンというのは、血液中のブドウ糖を細胞に取り込んで、細胞のエネルギー源にする大事なホルモンです。
糖尿病になると、インスリンが十分に働かず、血液中のブドウ糖をうまく細胞に取り込めず、細胞はエネルギー不足になります。
そして、使われなかったブドウ糖が血液中や尿中に増えていきます。
尿に糖が下りたというのは、尿中のブドウ糖が増えたということです。

糖尿病が重症になると、ブドウ糖を利用できない細胞は、ブドウ糖の代わりに脂肪を分解してエネルギーを作ろうとしますが、脂肪を分解するときにできる物質がケトン体です。
ケトン体は果実のような甘酸っぱい匂いがするので、重症の糖尿病のなると、尿が甘い匂いがするといわれるのはこのためです。
糖尿病以外で、糖質ダイエットをしているとき、激しい運動をした後などでも、尿中のケトン体が陽性になることがあります。

飲食物やサプリメント(それほど心配いりません)

尿に臭いを出しやすい飲食物はたくさんあります。
たとえば、ニンニクやニラを食べると、口臭や体臭だけでなく尿にもニンニクの臭いがします。
これは、アリシンという臭いの成分が血液中に取り込まれて、尿や汗、呼気に混じって出てくるからです。
そのほか、アスパラガスやブロッコリー、アルコール、コーヒー、香辛料なども尿が臭う原因といわれています。
飲食物による臭いは大きな問題にはならないですが、気になるときは水分を多く取って、普段使われている食材を見直してみるのもいいです。
薬剤(風邪薬やビタミン剤)やサプリメント、漢方薬などに含まれる成分で尿が臭う場合もあります。

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