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腹圧性尿失禁

腹圧性尿失禁とは

腹圧性尿失禁は、女性に最も多い尿もれで、せきやくしゃみをしたり、重い荷物を持ち上げたりしておなかに力が加わったときに尿がもれる病気です。
症状がすすむと、階段の上り下りをする、洗濯物を干す、などの日常動作でも尿もれが起こります。

腹圧性尿失禁は女性特有の悩みですが、男性では前立腺がんや前立腺肥大症の手術後に起こります。

症状

  • 咳やくしゃみをした時に尿がもれる
  • 大笑いすると尿がもれる
  • 重い荷物を持ち上げると尿がもれる
  • 急に走ったり、跳んだりすると尿がもれる
  • 階段の上り下りすると尿がもれる

原因

膀胱や尿道を支えている骨盤底筋の衰えが原因です。骨盤底筋が衰えると、膀胱や尿道をしっかり支えられなくなり、そこに腹圧がかかると尿道をギュッと締められなくなり、尿が漏れます。
骨盤底筋が弱まる主な原因としては、下記の通りです。

  1. 妊娠・出産
  2. 肥満
  3. 加齢
  4. 更年期
  5. 便秘

この中でも最大の要因は、妊娠・出産です。妊娠・出産は骨盤底に大きな負担をかけますので、妊娠中もしくは産後の骨盤底筋のトレーニングは尿漏れ予防として大切です。

検査と診断

問診

妊娠・出産経験があるか、持病がないか などお聞きします。

排尿日誌

排尿回数、1回の排尿量、尿もれの回数、などについて書いてもらいます。

尿検査

尿路感染がないか調べます。

超音波検査

残尿(膀胱に尿が残っている)のチェックや、膀胱結石などの他のご病気がないか、など調べます。

パッドテスト

尿漏れパッドを当てて水を500ml飲んでもらいます。歩いたり咳をしたり椅子から立ち上がったりという、決まった動作を1時間かけて行います。
最後に尿漏れパッドの重さを測ります。
パッドの重さが2g以上増えれば尿失禁あり、50g以上なら重症、と診断します。

治療

行動療法(リハビリ)

生活指導、骨盤底筋トレーニング、膀胱訓練などがあります。

生活指導

肥満は腹圧性尿失禁の原因の1つなので、適正体重の維持は改善効果があります。
そのほか、適度な運動や禁煙、飲水制限、便秘の改善などがあげられます。

骨盤底筋トレーニング(pelvic floor muscle training:PFMT)

骨盤底筋を強化することを目的とするトレーニングで、腹圧性尿失禁や頻尿の改善が期待できます。
方法としては、口頭で指導する、パンフレットを渡す、フィットネスと関連して行う、医療者が指導しながら行う、などさまざまです。
妊娠中および産後の尿失禁予防にも効果があるといわれています。

骨盤底筋トレーニングは正しく強化することが前提にあります。
自分ではしっかり訓練していても、正しく強化していなければ期待した効果は得られません。
医療者の指導のもとで正しいトレーニング方法を確認してもらうことをおすすめします。

また、骨盤底筋トレーニングを毎日続けることも根気が必要で、数日でやめてしまう患者さまも多いです。
骨盤底筋トレーニングの継続率は短期的には約60%で、1年で20%といわれています。
ですので、骨盤底筋トレーニングの方法を定期的にチェックしながら、電気刺激療法(干渉低周波)や磁気刺激治療法などほかの治療法も補完的に行っていくのがよいと思います。

神経変調療法

電気や磁気で骨盤底筋を刺激する治療法です。
骨盤底筋を強化する働きがあり、腹圧性の尿もれを改善することが期待できます。
電気や磁気による刺激は身体の表面から伝えますが、衣服や体を貫通するので、着衣の状態で刺激することができます。
電気刺激療法(干渉低周波治療)や磁気刺激療法などがあります。

干渉低周波治療はこちら

薬物療法

腹圧性尿失禁に保険適用を持っている薬は、クレンブテロール塩酸塩(スペロペント®)です。
もともとは、気管支喘息の治療薬として使われていましたが、尿道括約筋を収縮させて尿道を締める働きがあることから、腹圧性尿失禁の治療に用いられるようになりました。
他には、漢方薬(補中益気湯)などがあげられます。
ただ、薬物治療は、あくまでも対症療法であり、骨盤底筋トレーニングなどの治療法と組み合わせて行うことが重要です。

手術療法

上記治療を行っても、残念ながら腹圧性尿失禁が改善しなかった場合は手術療法が選択肢になります。
TVT手術やTOT手術などをお勧めします。
これらの治療は骨盤の中でテープにより尿道を吊り上げる手術です。
経験豊富な医療機関をご紹介させていただきます。

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